アリオーン・エコール・ドゥ・バレエ公式サイト 

アリオーンとは


 ギリシアの古典にはリュラやキタラを弾く詩人が登場します。太陽神アポッローンから竪琴を授けられたオルフェウスは余りに有名です。それに対し当校の名に冠しましたアリオーンは、やや知名度が低いのですが美しい物語を持っています。
 以下、ご参考までに高津春繁先生著『ギリシア・ローマ神話辞典』(岩波書店1960年)より「アリーオーン」の項1を引用させて頂きます。なお、表記の違いは古典ギリシア語の強勢記号のある文字イオータをいかに日本語の発音に近づけるかという工夫によって生じたものです。


引用
レスボス島出身の詩人、音楽家、ディテュラムボスdithyrambos詩の発明者、前625年頃コリントスの僭主ペリアンドロスPeriandrosの宮廷にあった。南イタリアとシシリアで音楽の競技に出席、多くの賞を得て、コリントスの船で帰る途中、船乗りどもは彼を殺して、その所持品を奪わんとした。彼は最後に一曲を奏することを乞い、歌い終わって海に投じたところ、歌を愛するいるか(海豚)が集まって来て、彼を背に乗せてタイナロンTainaron岬に送りとどけた。彼はそこからコリントスに帰り、ペリアンドロスにその話をした。コリントスの船が帰ってきたとき、ペリアンドロスはアリーオーンの安否を尋ねたところ、まだ南イタリアにいるとの答えに、アリーオーンが姿を現わし、船乗りどもは罪に服した。」引用終わり


 バレエでは腕をアンオから外に開いた「リュラのポーズ」と言われる型が使われます。実際のバレエ作品にも竪琴が登場します。

 『ライモンダ』ではライモンダ姫が戦場に赴いた婚約者・高潔な騎士ジャン・ドゥ・ブリエンヌを遥かに想いつつ竪琴を奏でます。その後贈り物のヴェールをいとおしみ舞うライモンダの独舞は、麗しいグランドハープソロで伴奏されます。

 『バフチサライの泉』ではタタールのギレイ=ハンに囚われたマリア姫が婚約者ワツラフの形見となった竪琴を抱きしめて屈辱に耐えます。

 『薔薇の精』では舞踏会から帰ったばかりの少女の部屋に(当時の良家の子女の嗜みとして)グランドハープが置いてあります。

 『アポロ』では太陽神にして音楽神のアポッローン=アポロが分身とも言うべき竪琴をかき鳴らすのですが舞台で見える楽器はリュートです。恐らくこの作品に因んでのことと思われますがニューヨーク・シティ・バレエのシンボルマークはイサム・ノグチの意匠による竪琴です。



 本気でハープを弾いてみたいと思われる方は、主宰がかつてご指導頂きました濱田久実先生にご相談してみましょう。




 
 

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